私の専門は非線形偏微分方程式です。特に、広い意味での波動現象に由来する双曲型および分散型方程式の代表格である非線形波動方程式、
非線形クライン-ゴルドン方程式や非線形シュレディンガー方程式の初期値問題について研究しています。初期値問題とは、初期時刻での
状態(初期値)が与えられたとき、微分方程式を満たす解を求める問題です。
非線形の問題に対しては一般には解の公式のようなものがないので、解の存在や性質について数学の理論を用いて調べることになります。
その際、非線形項のもつ性質は、解が時間大域的に存在するかどうかや、解がどのような振る舞いをするかなどに大きく関わります。
上で挙げた非線形偏微分方程式に対して小さい初期値を考える際、非線形項の次数が大きい場合には時間大域解が存在し、さらにその解は
非線形項を0とした線形方程式の解(自由解)に近い振る舞いをすることが知られています。一方で、臨界次数の非線形項をもつ方程式の場合には、
一般には解が時間大域的に存在するとは限らないし、もし時間大域解が存在してもその解が自由解のような振る舞いを示すとは限りません。
そのため、臨界次数の場合には非線形項がもつ構造に着目し、それが解の性質にどのような影響を及ぼすかを詳しく調べることが重要になります。
私は、このような非線形項の構造と解の長時間挙動の関係について、解の漸近形に現れる非線形効果やエネルギー減衰に興味をもって研究しています。