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研究室

研究室のメンバー

ゼミ選択と研究について

私の専門は代数幾何です。その中でも、主に代数多様体の特異点の興味を持って研究してきました。最近は少し整数論と関連することも研究しています。阪大には代数幾何の教員は多いので、代数幾何の中でも自分のやりたいことに近い専門の人を選ぶのが良いでしょう。そのためにも、代数幾何とはどのようなことを扱う分野なのか、代数幾何の中には、どのような研究テーマがあるのかについて、情報収集を学生自らしておくべきです。例えば、いろいろな代数幾何の教科書(例:M. Reid, Undergraduate Algebraic Geometry, Cambridge University Press)の序文を読むことをお勧めします。他にも、数学者のホームページを見て情報収集をするのも良いでしょう。大抵、ホームページに論文のリストがあり、そのタイトルを検索すると、論文のPDFファイルをインターネット上で見つけることができます。論文の概要、序文を読み、詳細な内容は分からないにしても、雰囲気だけでも知ることは有意義だと思います。

修論までの大体のスケジュールは、まず学部4年で、代数幾何の標準的な教科書(例えば、HartshorneのAlgebraic Geometryなど)を読む。修士1年でもう少し専門的な内容の教科書や論文を読み、修士2年で研究を開始というのが標準的なものです。

もう一つの選択肢としては、私の最近の研究と関連している整数論的なテーマを研究する事も考えられます。p進数体のような非アルキメデス局所体の拡大を数え上げる、というような問題を研究します。この場合、まず代数的整数論の標準的な教科書を読むことになると思います。

意欲と能力のある学生は、自分で勉強内容や研究テーマを選ぶこともできます。その場合、私の専門と多少離れていてもかまいませんが、より自立して勉強、研究することが求められます。

もし、大学院進学を考えていない場合は、学部4年でもう少し別のテーマ、1年で面白い内容にたどり着くようなものを選ぶことも出ます。

抽象代数幾何は難しいですが、根気強く頑張れば、その先の面白い世界を見ることが出来ます。また、研究する段階になり、まだ誰も知らないところを、試行錯誤しながら開拓していくのは、かけがいの無い経験となります。情熱ある学生を待っています。

セミナーでの発表や聴講について

セミナーでは毎回、一人から数人が発表します。最初のうちは教科書を読んで勉強した内容を発表し、研究する段階になると研究した内容を発表するようになります。当然、セミナー以外の時間に発表内容を一生懸命勉強、研究することが要求されますが、発表自体の準備にも力を入れる必要があります。セミナー発表の経験を通して、自分の頭の中にあること(勉強して分かったことや分からなかったこと)を理路整然と言葉で説明する、発表を時間内に収める、などの発表の技術を身につけて欲しいと思います。

他の人が発表しているときは、発表を真剣に聞き、積極的に質問や間違いの指摘をするようにしましょう。そうすることで、発表者のモチベーションは上がり、自分の理解は深まります。また、研究で重要となる、人と議論することの練習にもなるでしょう。

セミナーの準備については、以下の2つの文章も参考にして下さい。

修士論文について

博士課程に進学しない学生にとって、修士論文は最初で最後の数学研究の場となります。 博士課程に進学し、研究者を目指す学生の多くにとっては、修士論文が記念すべき最初の論文になり、 その後の研究に大きなな影響を持ち続ける物になるでしょう。 いずれにしても、貴重な機会なので、ぜひ情熱を持って取り組み、何かしらオリジナルの結果を出しましょう。

数学の論文は通常LaTeXを使って執筆します。多くの学生は修論で初めてLaTeXを使うことになるので、修論の執筆を進めながらLaTeXの使い方を学ぶことになります。

また、正しい作法に従って論文を構成する必要があります。特に、適切に先行研究を引用し、有益な助言をくれたり、何らかの形で論文作成に協力してくれた人達への謝辞を載せることは基本的なことです。

修士論文や博士論文で得られた研究成果を研究誌等で発表する場合、誰を著者に含めるかというオーサーシップの問題があります。純粋数学の分野では、学生の単著とするか学生と指導教員の共著にするか、というのが主な選択肢になり、学生の単著とする場合が多いです。しかし、近年では適切なオーサーシップを求める声が大きくなっており、指導教員の寄与が相当に大きい場合は共著にするのが適切だと考えます。具体的には、指導教員が主結果の証明の核心となるアイデアを出したり、主体的に半分以上の証明や計算を組み立てた、などの場合がこれに相当します。

参考資料: * 修士論文作成における適切な引用について(内藤久資先生(名古屋大学)のホームページより) * 数学の常識・非常識—由緒正しいTEX入力法(小田忠雄先生) * 日本語 LaTeX を使うときに注意するべきこと(黒木玄先生(東北大学)のホームページより)

博士課程(博士後期課程)進学と研究者志望について

これまでの経験では、私の研究室に来る学生の半分程度は、修士課程入学時点では、博士課程への進学、そして、最終的に研究者になることを目指しています。しかし、博士課程への進学、また、研究者の職(大学、研究所の常勤のポスト)を見つけることは、非常に狭き門です。熱意とハードワークがなければ、物になりません。また、研究成果が出るかどうか分からない不安に打ち勝つ、精神的強さ(もしくは、鈍感さ)も必要になります。

指導方針について

数学を教える以外にも、学生への教育上の要望(勉強の仕方、勉強量、発表の仕方や準備方法、時間を守る等の社会人としての基本、などなど)をストレートに伝えていくつもりです。

過去に指導した修士論文・博士論文

博士論文

  • 後藤 倫, Algebraic aspects of multiplier maps on algebraic dynamical systems on the projective line, 2024年3月
  • 丹野 真人, The wild McKay correspondence for \(p^n\)-cyclic groups and quotient singularities, 2022年3月
  • 山本 貴大, Pathological phenomena in the wild McKay correspondence, 2021年3月

修士論文

  • 草原 直也, モチーフの高さ
  • 山本 雄大, 群スキームに対するtwistedアークの空間
  • 赤司 佑介, 代数多様体の有理性の特殊化, 2022年3月
  • 大西 拓斗, トーリック・アルティン・スタック上でのモチーフ積分, 2022年3月
  • 丹野 真人, 位数の巡回群の野性McKay対応, 2019年3月
  • 西田 貴裕, 低次元特異代数多様体のジェットスキーム, 2019年3月
  • 山本 貴大, A counterexample to the McKay correspondence in positive characteristic, 2018年3月
  • 堀川 大輔, モジュラー不変式環とF純性, 2015年3月
  • 川原 悠太朗, 加群の直和分解に関するアルゴリズム, 2014年3月
  • 菅野 達仁, 連立方程式の代数幾何的解法およびSINGULAR による多重多項式終結式、疎終結式の計算, 2014年3月
  • 阿部 雅憲, グレブナー基底による多項式方程式系の解法, 2011年3月

Last update: April 4, 2024