文書作成システム LaTeX 入門
LaTeX とは,Stanford 大学 の Donald E. Knuth が作成した文書作成システム TeX をベースに,Leslie Lamport が使いやすく改良した文書作成システムである.言語としては HTML などと同じ Markup 言語に分類される.将来,様々な書類や論文を作成する際に必須となるソフトウェアであり,「LaTeX を扱えないようでは理工系学生とはいえない」と言っても過言ではない.
テキスト「教育用計算機システム利用の手引き」pp.37-38 に「コマンドプロンプト」を使った LaTeX の使用方法の説明があるので,ここでは「WinShell」という TeX 総合環境を利用した文書作成方法について学ぼう.
起動画面下方のクイック起動バーの右端にある「>>」をクリックし,「Documentation > WinShell」を選ぶ.
終了メニューから「ファイル > 終了」とする.
用語の説明
- TeX ソースファイル
- 文章の原稿ファイルであり,人間がエディタを介して書き込む.中身は,TeX を使って作成する文章と,それを制御する TeX コマンドからなる.通常は拡張子
.tex
を用いる.- dvi ファイル
- TeX ソースファイルをもとに,文書を表示するための情報をまとめたファイル.名前 dvi(=device independent:デバイスによらない)からも分かるように,OS やマシン環境に依存しないように作られた,いわば万能のファイルである.ただし,人間には読み書きできない.通常は拡張子
.dvi
を用いる.- コンパイル
- テキストファイルから dvi ファイルを作ること.この段階で TeX 言語としての文法チェックも行われる.
- pdf ファイル
- 紙に印刷するのと同じ状態のページのイメージを保存するためのファイル.pdf は Portable Document Format の頭文字をとったもの.
LaTeX による文書作成の流れは,概ね以下の通りである.
dummy.tex
としておく)で保存する.dummy.tex
が表示されている状態で「実行 > LaTeX」を選ぶと,コンパイルが実行される.dummy.dvi
が作られる.
これを画面表示するには,「実行 > DVI 閲覧」を選ぶ.dummy.dvi
を pdf ファイルdummy.pdf
として保存するには,「実行 > PDFLaTeX」を選ぶ.まずは簡単な文章を作成してみよう.必要ならば TeX 作業専用のフォルダを作成し(いろいろなファイルがごちゃごちゃにならないようにするため,この作業を行うことを強くお勧めします),その中に
test.tex
というファイル名で次の文章を保存しよう(WinShell のテキストエディタ画面にコピー&ペーストして作成し保存すればよい).¥documentclass[10pt, a4paper]{jarticle} ¥title{はじめての ¥LaTeX} ¥author{理学部哲学科,学籍番号 0000000,ほげほげ 太郎} ¥date{平成29年某月某日} ¥begin{document} ¥maketitle ¥begin{abstract} これは,はじめての ¥LaTeX ソースファイルです. ¥end{abstract} ¥section{はじめに} おお,これが噂の ¥LaTeX か! 感動$¥heartsuit$ ¥section{数式} 少し数式を書いてみよう. ¥begin{equation} ¥int_0^¥pi ¥sin x ¥, dx=¥left[-¥cos x ¥right]_0^¥pi=2 ¥end{equation} ¥section{あとがき} なんだ,意外と簡単じゃないか! ¥end{document}
次に.上で作った LaTeX ソースファイル
test.tex
をコンパイルしよう.WinShell で「実行 > LaTeX」とする. ソースファイルに文法エラーがなければ,同じディレクトリに
test.dvi
というファイルができているはずである.デスクトップの Documents で確認してみよう.なお,エラーメッセージが出たら,前のステップに戻り,ソースファイル
test.tex
を修正する.
首尾よく dvi ファイル
test.dvi
ができたら,今度はディスプレイに表示してみよう.WinShell で「実行 > DVI 閲覧」とすると,このような文書 が表示されるはずである.
上で作成したソースファイル
test.tex
の文章をいろいろと変えてみて,新しい文書をコンパイルしてはディスプレイに表示するという作業を繰り返し,文書作成の基本的な流れを完全にマスターして下さい.LaTeX 数式記号一覧 を参考にしながら,様々な数式記号も試してみて下さい.ここにある記号は(ちょうど上の例文
test.tex
で ♡ を出力するのに$¥heartsuit$
としているように)数式記号の開始と終了を明示する記号$
で挟んで使う(インライン数式といいます)か,もしくは¥begin{equation} ¥heartsuit ¥end{equation}のように,行を変えて数式を表示する部分(ディスプレイ数式といいます)に書き込みます.
なお,バックスラッシュ記号 \ は日本では円記号
¥
で代用します.というのも,両者には同じアスキーコードが割り当てられているからです.
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