2025年度秋冬学期 数学の考え方

シラバスにはこういうことを書きました。

みなさんの中には、これまでの数学に関する経験を通じて、数学は現実とほとんど関係ないのではないかという思いをもった人も少なからずいるでしょう。それに対して「数学は日常生活にも多くの応用をもつのだ。たとえば……」という説明を始めるのは簡単ですが、これは反論にはなっていないのかもしれません。おそらくみなさんの思いはある程度正当なのです。この授業では、実際に数学が、日常的な経験の一般化として出発しつつも、究極的には日常から独立した構築物として存在する様子を精密に実感することを試みます。(そうであるからこそ余計に、数学が多くの応用をもつのは驚くべきことなのだと思います。)

上記の目的のために、この授業ではいくつかの例を通じて、数学における諸概念が日常的直観に頼らない形でどのように定式化されるのか見ます。とくに、記号論理学的な「証明」の概念に多くの時間を割く予定です。

具体的には、「集合論的記述」「公理的記述」「証明の形式化」の三部構成とし、ときどき演習を交えながら講義を行いました。それを通じて数学的世界観とでもいうべきものを説明したつもりです。

  1. はじめに
  2. 集合論的記述1 — 虚数はいかなる意味で存在するといえるか
  3. 集合論的記述2 — 負の数とは何か
  4. 集合論的記述3 — 実数とは何か
  5. 集合論的記述4 — まとめ
  6. 公理的記述1 — 公理概念の形成
  7. 公理的記述2 — 自然数の公理系,実数の公理系
  8. 公理的記述3 — 無数の対象を統一的にあつかう方法として
  9. 公理的記述4 — まとめ
  10. 証明の形式化1 — 命題を記号化する(1)
  11. 証明の形式化2 — 言語
  12. 証明の形式化3 — 自然演繹における証明(1)
  13. 証明の形式化4 — 自然演繹における証明(2)
  14. 証明の形式化5 — 数学の理論とはどのようなものか

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