情報活用基礎 第4回(5月8日)


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コンピュータで文書を管理

コンピュータで文書を管理する際,まずはファイルシステムについて理解しておく必要がある.

ファイル

データをハードウェア上に記憶するときの単位.名前のついたデータと思えばよい.

ディレクトリ(=フォルダ)

ファイルを保管する場所.文字通り,文房具の "フォルダ" と同じような感覚で用いる場所である.

因みに,阪大の教育用計算機システムでは,『Zドライブ』と呼ばれる場所に,作成したデータを保管する.ここ以外に保存したデータは,ログアウト時に自動的に削除されてしまうので注意!

ついでながら,初めてログインしたときに『Zドライブ』にすでに存在していたファイルやディレクトリ(特に「linuxhome」)は消去しないように!

木構造

ディレクトリの中に,さらにディレクトリを作成して,ファイルを階層的に整理する状況を考えよう.このような場合,各ディレクトリやファイルの相互関係をグラフで表すと便利である.これを木構造という.分かりやすい説明図が 降旗大介先生の情報活用基礎のページ「第2回」の冒頭にあるので,参照して下さい.

練習課題1

コンピュータで文書を作成

コンピュータ操作において,まず基本となるのが文書作成である. テキスト p.39 にあるように,情報教育システムには,シンプルなテキストエディタとして「メモ帳」「TeraPad」,多機能なテキストエディタとして「Emac」がインストールされている.今日は,この中から特に「メモ帳」を選び,基本的な使い方を学ぼう.

起動

画面下方のクイック起動バーの右端にある「>>」をクリックし,「Documentation > メモ帳」を選ぶ.

保存

上方のメニューから「ファイル > 名前をつけて保存」もしくは「ファイル > 上書き保存」

終了

上方のメニューから「ファイル > メモ帳の終了」もしくは右上の × をクリック.

練習課題2

コンピュータで画像を扱う

コンピュータで画像を扱うには,主として以下の3つの方法がある.

種類 概要 ソフト
グラフ 実験データや数式を与えることにより,グラフを作成する. gnuplot, Mathematica, Maple など
ベクトル画 円や四角などを描く「ペンの動き」を記録することによって作図する方法.ベクトル画を描く為のアプリケーションソフトを「ドロー系ソフト」と言うこともある. Inkscape, Illustrator, Tgif, StarSuite Draw など
ピクセル画 画像を小さな画素(ピクセル)に分割し,各ピクセルの色情報を指定する方法.ピクセル画を編集するためのアプリケーションソフトを「ペイント系ソフト」と言うこともある. GIMP, Photoshop など

今回は,グラフ描画ソフト gnuplot の使い方を学ぼう.時間の関係で授業中に扱うことができないが,ドロー系ソフト Inkscape,およびペイント系ソフト GIMP も情報教育システムにインストールされているので,機会を見つけて使ってみることをお勧めする.なお,これら3つのソフトはいずれもフリーソフトなので,自分のパソコンにインストールして使うこともできる.

gnuplot はコマンド入力形式で入力し,グラフを描画するアプリケーションである.実験データをグラフで表示したり,様々な関数のグラフを描いたりすることなどが簡単にできるので,理工系分野では基本的なアプリケーションである.将来のためにぜひ使えるようになっておこう.

起動

画面下方のクイック起動バーの右端にある「>>」をクリックし,「Math > gnuplot」を選ぶ.

終了

gnuplot のコマンドラインから exit と入力する.

練習課題3

次の表は,HCl の水溶液の氷点降下を種々の重量モル濃度(溶媒 1kg 中の溶質のモル数)で測定した結果である.(出典:久保亮五編「大学演習 熱学・統計力学」裳華房)

重量モル濃度(×10-3 mol /kg) 氷点降下(×10-2 deg)
0.627 0.228
1.179 0.434
1.245 0.455
1.474 0.542
2.228 0.815
3.526 1.286
4.520 1.644
6.879 2.494
10.633 3.843

これをグラフに描いてみよう.まず,「メモ帳」を使って

0.627 0.228
1.179 0.434
1.245 0.455
1.474 0.542
2.228 0.815
3.526 1.286
4.520 1.644
6.879 2.494
10.633 3.843

という内容のファイル(注:データ間のスペースは半角で!)を作成し, jikken.dat という名前で保存する.

次いで,gnuplot を立ち上げ,上記データが『Z ドライブ』直下に保存されている場合は

gnuplot> plot "jikken.dat"

とすると,(x,y)=(0.627, 0.228),(1.179, 0.434),... , (10.633, 3.843) に対応する9つの点からなるグラフが作成される.

gnuplotグラフ

なお,もしデータがフォルダ infoLiteracy に保存されている場合は

gnuplot> plot "infoLiteracy/jikken.dat"

とすればよい.

「点だけでは見にくい」という場合は,with オプションを用いて,例えば次のようにしてみる.

gnuplot> plot "jikken.dat" with linespoints

こうすると,上の9つの点が線で結ばれたグラフが作成される.

gnuplotグラフ


ヘルプの利用

他の表示方法を試してみたい場合は,どのようなオプションが使えるか,ヘルプを参照して調べてみるとよい.まず

gnuplot> ?

としてヘルプを呼び出すと,別ウィンドウでヘルプ画面が現れる.

例えば,plot というコマンドについてもっと詳しく知りたい場合は,ヘルプの左画面から「コマンド」を選択すると右画面に現れるコマンドリストから plot を選べばよい. なお,plot というコマンドについて調べるだけなら,直接

gnuplot> help plot

としてもよい.


描いたグラフの保存方法

描いたグラフを保存する方法について説明しておく.gnuplot で描いたグラフィクスは,様々な形式で保存することができるが,良く使うのは以下の2つである:

例えば TeX ソースファイルにグラフを読み込むために,上で描いた実験データのグラフを jikken.eps というファイル名で eps 形式で保存する必要が生じたとしよう.このときは次のようにする.

gnuplot> set terminal postscript eps enhanced color

gnuplot> set output "jikken.eps"

gnuplot> plot "jikken.dat" with linespoints

gnuplot> set terminal windows

gnuplot> set output

上に書いた一連のコマンドについて簡単に説明しておこう.最初の2行は,これから描くグラフィクスを eps 形式で(カラーで)出力し jikken.eps というファイル名で保存せよ,という宣言である.また3行目は実際にグラフを描く部分,そして最後の2行は,ファイルに保存するのではなくディスプレイに描画するよう設定を元に戻す部分である.

一方,web で公開するために jikken.png というファイル名で png 形式で保存する場合は:

gnuplot> set terminal png

gnuplot> set output "jikken.png"

gnuplot> plot "jikken.dat" with linespoints

gnuplot> set terminal windows

gnuplot> set output

とすればよい.また,単に

gnuplot> set terminal

とすると,利用可能な出力形式の一覧を表示してくれる.

練習課題4

gnuplot では,様々な関数のグラフを描くこともできる.例えば

gnuplot> plot sin(x)/x

と入力すれば,関数 f(x) = sin(x)/x のグラフを描いてくれる(変数 x の範囲などは自動的に設定される).

gnuplotグラフ

同様に

gnuplot> splot x**2-y**2

と入力すれば,2変数関数 f(x,y) = x2 - y2 のグラフを描いてくれる.

gnuplotグラフ

複数のグラフを同時に描くには,単に関数を複数指定するだけでよい.また,グラフの描画範囲を指定することもできる.例えば

gnuplot> plot [-20:20] [-2:2] sin(x), x-x**3/6+x**5/120, x-x**3/6+x**5/120-x**7/5040+x**9/362880

とすれば,3つの関数

y = sin(x)
y = x - x3/3! + x5/5!
y = x - x3/3! + x5/5! - x7/7! + x9/9!

を -20≦x≦20,-2≦y≦2 の範囲で同時に描画してくれる.

gnuplotグラフ

練習課題5(オプショナル)

余裕があれば,大阪大学の 降旗大介先生の情報活用基礎のページ「第6回」を参照し,より詳しい使い方を学ぼう.

確認テストの実施

作業の終了

作業が終了したらログアウトし,ディスプレイの電源を切る.計算機本体の電源は切らない.