談話会


2022/1/24(Mon)

17:00--18:00 ハイブリッド形式(E404+Zoom)

桑垣 樹

大阪大学 理学研究科

Riemann-Hilbert対応とWKB解析

RH対応とは、微分方程式(D加群)とその解のモノドロミー(構成可能層)を結びつける圏同値です。この圏同値は超局所的な同値で、両辺の超局所的な情報も関係づけます。ここで「超局所的な情報」とは、微分方程式を考えている底多様体の余接束に住んでいるスケール不変な情報(「錐的な情報」)のことです。例えば、微分方程式の主表象の零点(特性多様体)は、構成可能層の超局所台というものを使って記述することができます。そして、ここに現れる特性多様体や超局所台は余接束内の錐的ラグランジアンになっています。 他方、半古典解析(WKB解析)と幾何学的量子化の文脈では、hつきの微分方程式(の解)が、その半古典ラグランジアンに対応する量子状態だとみなします。ここでも微分方程式と余接束のラグランジアンに関係があるわけですが、こちらに現れるラグランジアンは錐的とは限りません。 今回の講演では、上の二つを混ぜた話をします。すなわち、hつきの微分方程式に対するRH対応の定式化とそのシンプレクティック幾何学との関わりについてです。定式化には層量子化という概念を用いており、それは深谷圏とも関係があるので、それらについても説明をする予定です。