微分方程式セミナー


2022/1/21(Fri)

15:30--16:00 理学部 E301/302/303 大セミナー室

村上 博一

大阪大学

非線形Klein-Gordon 方程式の弱い消散条件下での解の減衰評価について

1次元3次の非線形Klein-Gordon方程式は、非線形項が特定の構造条件を満たす場合に、解が自由解よりも速く減衰することが、非線形消散現象として知られている。この構造条件には強い消散条件と弱い消散条件の2種類が存在する。それらの違いの一つとして、解の時空微分まで速く減衰するかどうかがあり、強い消散条件のもとでのみ解の時空微分の速い減衰が得られている(Kim-Sunagawa)。本研究では、弱い消散条件を満たす典型的なモデルに対して解の時間微分の減衰レートを調べた。その結果、性質の良い初期値に対して、解の時間微分に対するほぼ最適な減衰評価が得られた。また、強い消散条件を満たすモデルの場合よりも減衰レートが遅い解が実際に存在するという意味で、一般にはこの評価が最適であることも分かった。本研究は眞崎聡氏(阪大)との共同研究に基づく。