微分方程式セミナー


2019/5/31(Fri)

15:30--17:00 理学部 E301/302/303 大セミナー室

水谷 治哉

大阪大学 理学研究科

Wave operator on Sobolev space

シュレディンガー方程式の散乱理論において、波動作用素の存在と漸近完全性はそれぞれ終値問題と初期値問題の解の大域挙動を決定する重要な性質である。線形散乱理論では波動作用素は L^2 で考察されることがほとんどであるが、非線形散乱理論に応用する際にはソボレフ空間での考察が自然と必要になる。この講演では、以下の命題「波動作用素が L^2 で存在して漸近完全であればソボレフ空間でも同じことが成り立つ」が成立するための十分条件とそのポテンシャル散乱への応用について紹介する。例えば1階のソボレフ空間の場合、この条件は滑らかな短距離型・長距離型、クーロン・逆二乗べきを含む局所特異性、1次元デルタ型点相互作用など広範囲のポテンシャルに適用できる。時間が許せば斉次ソボレフ空間の場合も紹介したい。