微分方程式セミナー


2021/6/25(Fri)

15:30-- オンライン開催

牛越 惠理佳

横浜国立大学大学院

極端なアスペクト比を伴う断面をもつ細い弾性体に関する固有値問題

本講演では,3次元における柱状の均質等方弾性体の変形に伴う固有値の漸近挙動の解析を行う.板状の弾性体の固有振動の解析は,Cirlet-Kesavan(1981)を始めとして数多くの研究がなされてきた.一方,より複雑な解析が必要とされる柱状弾性体については,Irago-Viaño-Kerdrid(1998)やTanbača(2001)によって遅れて研究が展開されている.ただし,これらは断面が一様な柱状弾性体に限定されており,近年になって,Jimbo-Rodríguez Mulet(2020)で,これまで扱われていなかった断面形状が非一様の柱状物体を対象とし,さらに同弾性体の「曲げモード」の弾性体の振動モード形に対する固有値の漸近挙動の解析に成功している.本講演では,Jimbo-Rodríguez Mulet(2020)と同様の細い柱状弾性体を扱うが,各断面が1方向に極端につぶれているような場合の固有値の精密な挙動を解析する.なお本講演は,北海道大学の神保秀一氏と横浜国立大学卒業生の吉原広将氏との共同研究に基づく.