微分方程式セミナー


2021/6/18(Fri)

15:30-- オンライン開催

宮崎 隼人

香川大学

Asymptotic behavior of solutions to the long-range nonlinear Schr\"odinger equation on a star graph

頂点にKirchhoff境界条件を課した星グラフ上のべき型非線形Schr\"odinger方程式 (NLS) について考察する. グラフ上の非線形偏微分方程式は, 分岐構造を考慮した数理モデルを考えると自然に現れ, 星グラフはそのような構造のプロトタイプに相当する. 直線上のNLSの解の長時間挙動は, 非線形項のべきの大きさによって, 解が時刻無限大で自由解に漸近する短距離型, 非線形性の影響から自由解に漸近しない長距離型に分類される. 本講演では, 非線形項のべきが長距離型のとき, 直線上のNLSの先行研究に対応する結果を, Kirchhoff境界条件を課した星グラフ上のNLSで得られたことを報告する. 星グラフ上での解析の鍵は, 星グラフ上のSchr\"odinger作用素をDollard分解と呼ばれる4つの要素に分解することである. その際に用いるWeder (2015) による星グラフ上の一般化Fourier変換の性質を調べることで, 解の漸近挙動の解析が可能となる. なお本講演は, 青木和貴氏, 戍亥隆恭氏 (大阪大), 水谷治哉氏 (大阪大), 瓜屋航太氏 (岡山理科大) との共同研究に基づく.