微分方程式セミナー


2020/10/30(Fri)

15:30--17:00 E210

岡本 葵

大阪大学 理学研究科

吸引的なHartree型 \Phi^4_3 測度と非線形波動方程式のほとんど確実な大域的適切性

空間3次元において,吸引的なHartree型 \Phi^4_3 モデルのGibbs測度について考える. Bourgain('97)は,指数 \beta>2 のBesselポテンシャルに対して,Gibbs測度を構成している. 本講演では,\beta=2 はGibbs測度が構成可能な最良の指数であることを述べる. また,Gibbs測度の台に初期値を持つ非線形波動方程式がほとんど確実に時間大域的に適切となることを示す. 適切性の証明では,Gubinelli-Koch-Oh('18)で導入された確率非線形波動方程式に対する擬被制御(paracontrol)解析を用いる. Hartree型の非線形項に表れる決定論的に意味付けができない部分は,擬被制御作用素の分散性をより精密に解析して,ほとんど確実に定義できることを示す. 本講演の内容は,T. Oh (Univ. of Edinburgh), L. Tolomeo (Univ. Bonn)との共同研究に基づく. *セミナーの部屋がいつもと異なるのでご注意ください.*