確率論セミナー


2020/2/4(Tue)

16:30--18:00 数学教室 大セミナー室 (E404)

濱口 雄史

京都大学

Time-inconsistent consumption-investment problems in incomplete markets

投資家の時間選好を表す割引関数が古典的な指数割引関数でない場合、Bellmanの最適性原理が成立せず、効用最大化問題は時間非整合となることが知られている。つまり、現時点で見たときの将来の利得に関する最適戦略が、後の時点で見ると最適戦略とはならない。近年、このような時間非整合的な最適化問題が、確率制御理論、数理ファイナンス、経済学などで注目されている。本講演では、非マルコフかつ非完備マーケットの設定において、一般の割引関数の下での投資家の消費・投資戦略に関する効用最大化問題を考える。この問題において、時間非整合的な「最適戦略」に取って代わる時間整合的な解概念である「ナッシュ均衡戦略」の定義を紹介し、そのFBSDEを用いた特徴づけ、および時間整合的な効用最大化問題との対応について得られた結果を説明する。 本講演は、preprint 「Time-inconsistent consumption-investment problems in incomplete markets under general discount functions」(arXiv:1912.01281)の内容の紹介になります。