談話会


2019/12/16(Mon)

16:30--17:30 理学部 E404/406/408 大セミナー室

坂内 健一

慶應義塾大学 理工学部

総実代数体に付随する代数トーラスのポリログについて

古典的なポリログ関数は、BeilinsonやDeligneなどにより、乗法群に付随するモチーフ的ポリログの実現として解釈された。この関係を通して、Dirichlet L関数の場合のBeilinson予想や玉河数予想(Bloch-Beilinson-加藤予想)などの解決でも重要な役割を果たした。本講演では、総実代数体に付随するある種の代数トーラスのモチーフ的ポリログの実現について、講演者が山本修司(慶應)、山田一紀(慶應)、萩原啓(理研)と現在共同で進めている研究を解説する。特に、この場合のポリログが満たすと期待される性質を説明すると同時に、代数トーラスの様な高次元の場合には、関数ではなく同変コホモロジー類を考えることが自然であるという新しい視点を解説し、新谷卓郎の総実代数体のHecke L関数の非標準な母関数にまつわる1976年の研究の再解釈を与える(arXiv:1911.02650 [math.NT])。