微分方程式セミナー


2020/1/10(Fri)

15:30--17:00 理学部 E301/302/303 大セミナー室

青木 和貴

大阪大学 理学研究科

4階非線形Schr\"{o}dinger方程式の時間大域解の存在について

本講演では2つの結果を紹介する. (1)空間6次元で未知関数の複素共役の2乗の非線形項を伴う4階Schr\"{o}dinger方程式の初期値問題について考える. 空間6次元ではStraussの臨界指数が2であり, 小さい初期値に対する時間大域解の存在が期待されるが未解決であった. 本講演では, Shatah(1985)でKlein-Gordon方程式に用いられたNormal form methodを4階Schr\"{o}dinger方程式に応用することで, 小さい初期値に対する時間大域解の存在を証明する. (2)空間1次元で2階の空間微分を含む非線型項を伴う4階Schr\"{o}dinger方程式の初期値問題を考察する. 4階Schr\"{o}dinger方程式の基本解は微分すると時間減衰が速くなることが知られており, 空間1次元で2階の空間微分を含む3次の非線型項は小さい初期値に対する時間大域解の存在に関して臨界的な状況であることが予想される. 本講演では, 非線型項がある構造を持つ場合に得られた小さい初期値に対する時間大域解の存在の結果について紹介する.