Van den Berghにより導入されたnoncommutative crepant resolution (NCCR)は,Gorenstein正規特異点に対するcrepant resolutionの非可換類似を与える概念であり,双有理幾何やCohen–Macaulay表現論と密接に関係する.本講演では,滑らかな射影多様体上のd-tilting bundleから,その反標準環のNCCRを構成する仕組みについて説明する. d次元滑らかな射影多様体 X上のd-tilting bundleとは,tilting bundle Eであって,その自己準同型環End_X(E)の大域次元がdに一致するものをいう.標準束の全空間からの自然な射影π: Tot(ω_X)→Xを考えると,この条件はπ^*EがTot(ω_X)上のtilting bundleとなることと同値である.X がd-tilting bundle を持つとき,反標準束ω_X^{-1}はsemiampleかつbigとなる.さらに,反標準環R(X,-K_X)はGorenstein正規環となり,自然な射Tot(ω_X)→Spec R(X,-K_X)はcrepant birational morphism となる.このとき,π^*Eの自己準同型環は,R(X,-K_X)のNCCRを与える. 特に曲面の場合には逆も成り立ち,滑らかな射影曲面が2-tilting bundle を持つこととweak del Pezzo surfaceであることは同値である.最後に,toric Fano stack の場合についても触れ,d-tilting bundleとtoric NCCRの対応が,Picard群と反標準環のdivisor class groupの関係を通じて組合せ論的に記述できることを説明する.