ワイルの法則とは, ラプラシアンの固有値分布と空間の距離の情報, 特にハウスドルフ次元との関係を述べる漸近等式です. コンパクトリーマン多様体におけるワイルの法則は古くからよく知られていましたが, 最近は特異点の入った測度距離空間についても調べられています. 通常, 特異点が入るとワイルの法則は全く期待できませんが, リッチ曲率がある意味で下から抑えられているという状況($RCD(K,N)$条件下)においてはスペクトルの分布はよく制御され, 距離の情報を持ったワイルの法則が観測されます. では無限次元空間であってリッチ曲率が抑えられている状況ではどうなるでしょうか. この問が最近の私の研究ですので, それについてわかったこととわからないことを解説します.