本講演では、あるクラスのグラフ上を動くエレファントランダムウォーク(ERW)を定義し、それに関する各種の極限定理を導く。具体的には、双極グラフを基底グラフとして持つ無限グラフのEuclid空間内での周期的実現上を動くERWを考える。典型例は六角格子上のERWである。 すでに正方格子上のERWには多くの研究があるため、一般のグラフ上でERWを考えることは自然な発想である。しかし、ERWの履歴を参照するという性質により、グラフの各頂点における辺の配置が一様であるグラフへの拡張は簡単である一方で、非一様であるグラフへの拡張は自明ではない。また定義できたとしても従来の解析手法をそのまま適用することは難しかった。 本講演では、グラフのクラスを制限することにより、ERWを定義できること、ERWは拡散的、臨界的、超拡散的な三つのレジームを持つこと、各レジームで各種の極限定理が成り立つことを説明する。また極限定理にグラフの性質が現れることも説明する。 本講演は、由良海斗氏(熊本大学)との共同研究に基づく。