確率論セミナー


2026/1/27(Tue)

15:10--16:40 理学部 E404/406/408 大セミナー室

加藤 昇吾

統計数理研究所

A family of probability distributions and a regression model induced by Möbius transformations on the sphere

球面上のデータに対して実数値データのための統計解析法を用いると,不自然な解析結果となる問題が知られている.球面上のデータはその幾何学構造から,実数値データのための確率モデルを当てはめたり,線形変換を施したりすることは適切ではない.本講演では,球面をそれ自身に写すメビウス変換を用いた2つの球面上のデータのための確率モデルを提案する.1つめの確率モデルは,球面上の確率分布である球面上のコーシー分布である.この分布は,球面上の一様分布にメビウス変換を施すことによって導かれる.メビウス変換を用いることにより,この分布の効率的な乱数生成法やピボット量の簡潔な表現が得られるなどの扱いやすい性質が得られることを示す.2つめの確率モデルは,被説明変数が球面上の変数,説明変数が球面上の変数および実数値変数となる回帰モデルである.この回帰モデルのリンク関数は,メビウス変換を拡張することにより得られる.このリンク関数は,各軸の尺度を調整することが可能である.また,複数の既存のリンク関数を特別な場合として含む.球面上のコーシー分布に関する研究はPeter McCullaghとの共同研究であり,回帰モデルに関する研究はKassel L. Hingee,Janice L. Scealy,Andrew T.A. Woodとの共同研究である.