移流拡散方程式の初期値問題に対する時間大域解の長時間漸近挙動を考察する. Escobedo--Zuazua(1991)は,非線形移流の効果が線形拡散の効果に比べて弱い場合,時間大域解が熱核の定数倍に漸近すること(1次漸近展開)を示した. さらに,Zuazua(1993)は2次漸近展開を導出し,Escobedo--Zuazuaによる1次漸近形への収束率が最良であることを明らかにした. 本講演では,ある劣臨界的状況の下で,Zuazuaによる2次漸近形への収束率が,漸近形を修正することなく改良できることを示す. さらに,3次漸近展開と3次漸近形が持つ漸近的な自己相似構造を活用して,得られた2次漸近形への収束率の最良性・非最良性を決定する.