整数論保型形式セミナー


2019/10/18(Fri)

13:15--14:15 理学部 E404/406/408 大セミナー室

鈴木貴士

中央大学

関数体上のAbel多様体の岩澤mu不変量

関数体上のAbel多様体の岩澤理論は,Ochiai-Trihanにより研究されています.この講演では,定数Z_p拡大の場合のAbel多様体のmu不変量についてお話しします.まずTate-ShafarevichスキームやBrauerスキームの次元を用いたmu不変量の公式を示します.またAbel多様体が半安定の場合,Lai-Longhi-Tan-Trihanの岩澤主予想により,L関数を用いたmu不変量の公式が得られる事を説明します.mu不変量の消滅は,正標数代数曲面のHodge-Witt性と深く関係しています.特に超特異K3曲面上の楕円ファイブレーションのgenericファイバーは,mu不変量が0でない楕円曲線を与えます.一方で,mu不変量0の楕円曲線は,適当な条件の下で,(定数体上の)楕円曲面のモジュライの中で稠密な開部分多様体を成します.即ち"generic"な楕円曲線は,岩澤のmu=0予想の類似を満たします.(Lai, Longhi, Tan, Trihanとの共同研究)