p-エネルギー形式とは,”Dirichlet形式のL^p版”にあたる対象であり,近年その構成及び性質の研究が進展している.(主たる動機の一つは、フラクタル上に(1,p)-Sobolev空間の対応物を構成することにある.)正則なDirichlet形式に対しては,その局所化にあたるエネルギー測度を定めることができるが,p-エネルギー形式の場合には同様の構成法を適用することが困難であり,エネルギー測度はエネルギー形式の具体的な表現や,自己相似性の仮定に強く依存する形で個別に構成されていた.講演者は,強局所,正則なDirichlet形式に対応する条件のみを課したp-エネルギー形式に対し,(空間/エネルギーの自己相似性の仮定を必要とせず),Dirichlet形式の場合とは異なったアプローチにより対応するエネルギー測度を構成し,連鎖律,Leibniz則などの諸性質や,それらの性質を満たすエネルギー測度の一意性を示した(arXiv:2502.13069).本講演では,これらの研究背景及び結果をより詳しく紹介する.