分枝過程は人口変化などを表す古典的な確率過程で,Bienayme, Galton, Watsonらによって1800年代の半ばごろに導入された.分枝過程の解析では推移確率の母関数やラプラス変換が基本的である.これらの関数は適当な領域上の正則写像になるため,複素関数論を用いるというアイデアは自然なものではあるが,このような方針の先行研究は少ない.最近の講演者の研究で,複素関数論を活用して分枝過程の様々な性質を証明したので,その一部を紹介する.講演はPavel Gumenyuk氏, Jose Luis Perez氏との共同研究に基づく.