代数幾何学セミナー


2025/4/14(Mon)

10:30--12:00 理学部 E404/406/408 大セミナー室

松本圭峰

大阪大学 理学研究科

quasi-phantom性の変形不変性

体k上の代数多様体Xの導来圏D(Coh(X))がquasi-phantom category(擬幻影圏)をadmissible subcategoryとして持つ(持たない)という性質は,非可換幾何学において重要な研究対象です. 本講演では,代数多様体がquasi-phantom categoryを持つという性質が変形で保たれるかという問題を考えます. この問題は, 複素数体上のBarlow surfacesのモジュライやfull exceptional collectionを持つ多様体のfamilyの場合,また標数\neq 2な閉体上のBurniat surfaceのモジュライに対して肯定的に解決されています. 本講演においては,幾何的実現を持つdg圏 T\subset perf{dg}(X)に対して,quasi-phantom categoryと密接に関係する,motivic quasi-phantomの概念を導入します.この概念は有理係数非可換モチーフの消滅で特徴づけられるもので,base field kが素体上超越次数が∞な閉体な場合はquasi-phantomを含み,ch(k)=0かつK(X){tor}が有限生成な場合はquasi-phantomに含まれるという性質を持ちます.重要な結果として,XのChow motiveがKimura finiteな場合,kで可逆な素数lに対して,T_{\ol{k}}の K(1,l)-local K theoryが消滅するならばTはmotivic quasi-phantomとなる事を示します.(またkが標数0の場合,HH(T/k)=0ならばTはmotivic quasi-phantomとなる事を示します.)この結果を用いて,代数体上のp_g=0な多様体のなすfamily,標数0な体上のp_g=0, c_1^2 \neq 9な一般形曲面のなすfamily,また高次元類体論の帰結として有限体上のアーベル型多様体のなすfamilyに対して上の問題を肯定的に解決します.