ケーラー多様体上の正則な前量子化束を考える. その正則切断の, ボーア・ゾンマーフェルト ラグランジュ部分多様体 (BSL部分多様体) の近傍における漸近挙動について次の二つの結果を紹介する. 1. 円周上の連続関数を三角多項式で近似するように, BSL部分多様体上の連続関数を, 前量子化束の適当な自明化のもと正則切断で近似することができる. このような近似する正則切断列が満たすべき不等式を紹介する. 2. 幾何学的量子化では実偏極を退化したケーラー偏極とみて, 量子ヒルベルト空間の収束が研究されている. ここではBSL部分多様体の接空間をファイバー方向にスケーリングすることで, ケーラー偏極をファイバー方向への実偏極へと収束させる. その際に, 正則切断がファイバー方向に定数な関数へと収束していく様子を調べる.