Kahler類Lに対し、Lに属すKahler計量がなす空間上のペレルマンμエントロピーは、定スカラー曲率計量(cscK計量)とKahler-Ricci solitonを一般化したμ-cscK計量を臨界点にもつ。一方で、非アルキメデス計量(自明付値体上のBerkovich空間の上の関数)がなす空間上に非アルキメデスμエントロピーという汎函数があり、ペレルマンμエントロピーと''双対''の関係にあることが予想されている。 本講演の主題は非アルキメデスμエントロピーである。この汎函数を最大化する非アルキメデス計量の存在と一意性の問題をトーリック多様体の場合を超えて一般的に解決したので、これについて話す。存在証明のポイントはふたつあり、ひとつは非アルキメデス計量の''ひずみ''という概念を新たに導入して非アルキメデスμエントロピーに関する新しい公式を見出し、これを通じてKahler時空(という$n+1$次元の計量)のμエントロピーを導入すること。ふたつめはKahler時空のμエントロピーに関するコンパクト性を確立すること、である。