阪大代数幾何学セミナー


2024/6/10(Mon)

10:30--12:00 ハイブリッド(理学部E404およびZoom)For more information, please contact handai.agseminar@gmail.com by Friday (We might ignore non-academic e-mail address).

今村 悠希

大阪大学 理学研究科

A formal category theoretic approach to the homotopy theory of dg categories

dg圏とは、Hom集合が加群の複体の構造を持っているような圏(正確に言えば、加群の複体の圏Chで豊穣された豊穣圏)のことである。特にプレ三角なdg圏 A は、そのHom複体の0次コホモロジーを取ることによってプレ加法圏 H^0(A) が自然に三角圏の構造を持つことが知られており、三角圏の増強概念として代数幾何学や表現論で用いられている。 dg圏には擬同値と呼ばれる、通常の圏同値よりも弱い同値概念があり、すべてのdg圏は擬同値のもとで区別するべきとされる。擬同値に関するdg圏のホモトピー論は、dg圏の圏dgCat上の擬同値を弱同値とするモデル圏構造によって実現され、この構造を用いることで擬同値によるdgCatの局所化HodgCatが構成できる。局所化HodgCatは擬同値な射を同型にするものの中で最も普遍的な1圏である。 本講演では、HodgCatの自然な精密化となるような2圏(正確にはbicategory)を導入し、それにproarrow equipmentと呼ばれる付加構造を与えることによって、dg圏のホモトピー論に対して2圏論的なアプローチが可能となることを説明する。Proarrow equipmentは圏論を形式的に展開するための枠組みの一つで、この構造があると通常の圏論において基本的な概念である同値・随伴・極限等が定義できる。この理論を応用することで、dg圏のプレ三角性をある種の完備性として理解できることを解説する。