Heisenberg Bieberbach多様体とは、Heisenberg群とユニタリ群の半直積のdiscrete torsion-free部分群によるHeisenberg群のコンパクト商のことである。この講演では3次元Heisenberg Bieberbach多様体上のFolland-Stein作用素と呼ばれるCR幾何由来の微分作用素の固有値と固有空間について考察する。Heisenberg Bieberbach多様体が特にHeisenberg群の離散部分群によるコンパクト商であるときには、2004年にFollandによってFolland-Stein作用素の固有値と固有関数が明示的に求められている。Follandの手法を応用し、3次元Heisenberg Bieberbach多様体のいくつかの例に対してもFolland-Stein作用素の固有値と固有空間の次元を求めることができることを紹介する。