整数論保型形式セミナー


2019/7/12(Fri)

13:15--14:15 理学部 E404/406/408 大セミナー室

富安 亮子

九州大学 IMI

同じZ上表現を持つ正定値3変数2次形式に関するKaplansky予想と、関連する結果について

Kaplansky予想は、Z上表現からなる集合が一致するR係数の3変数正定値2次形式のペアは、2種類の無限系列に含まれるか、regularと呼ばれる、Zp上の表現からZ上の表現が定まる2次形式の定数倍になっているという予想である。ただし、テータ級数のように表現の多重度の一致は問わない問題をここでは考える。同様の問題は数学の他、数理結晶学分野でも考えられており、上記の無限系列(hexagonal family & rhombohedral family)も知られている。紹介する結果は、計算によるものと理論的なものがある。まず徹底探索の結果により、Kaplansky予想のより具体的なバージョンを得た。その結果、今のところ数はかなり限られるものの、regularでない2次形式の組もZ上表現が一致する候補として得られており、∞まで完全に表現が一致するかどうかは、2次形式論の分野で興味を持たれる話題になっている。また、上記の無限系列がなぜ2つに限られるのか、という問いに端を発する理論的な結果としては、Q係数の定数倍にならないR係数の2次形式の場合、Q上の表現が完全に一致するなら、それらの2次形式は互いの定数倍とQ上同値であることを示した。この問題は、2次形式のペアの同時表現を扱う状況に帰着されるため、Bhargavaが示した2次形式のペアと4次環との対応関係を用いて証明を実施している。