クンマー曲面は特別なK3曲面であり、主偏極アーベル曲面を適切な対合で割ることで得られます。これは非常に簡明な方程式で定義される古くから知られた複素曲面ですが、一般のK3曲面の周期写像の重要な性質を証明する際に活躍しました。更に整数論への応用も多く試みられているなど、重要な数学的対象として知られています。今回は、クンマー曲面の「パートナー」を経由することで、格子偏極K3曲面の観点からクンマー曲面の族を自然に含むようなK3曲面族を構成します。これらのK3曲面の周期写像の逆対応が、整数論で重要な保型形式を自然に与え、多変数のテータ関数や複素鏡映群の不変式と密接に関係することを紹介します。