確率論セミナー


2019/6/4(Tue)

16:30--18:00 数学教室 大セミナー室 (E404)

杉田 洋

大阪大学 理学研究科

乗法的算術関数に対する平均値定理のアデール環による確率論的証明

Z 上の関数 f は gcd(m,n)=1 なる自然数 m,n に対して f(mn)=f(m)f(n) が成り立つとき乗法的算術関数と呼ばれる。有限整アデール環 Z^ は有理整数環 Z を稠密に含むコンパクト環で、Z^ 上には加法に関して不変なボレル可測確率測度(ハール確率測度) λ が存在する。任意の [0,1]-値乗法的算術関数 f は自然に (Z^,λ) 上の確率変数に拡張される。このとき f の値の相加平均 (f(1)+f(2)+…+f(n))/n は n→∞ のとき f の λ による平均に収束する。このことを確率論的手法により示す。