整数論保型形式セミナー


2019/5/31(Fri)

13:15--14:15 理学部 E404/406/408 大セミナー室

玉川 安騎男

京都大学・数理解析研究所

共通同種因子を持つアーベル多様体の族について(Anna Cadoret氏との共同研究)

代数多様体S上のアーベル多様体族(アーベルスキーム)に対する次の問題を考えます:Sの全ての閉点における幾何的ファイバーに共通のアーベル多様体が同種因子として現れるとき、このアーベル多様体はSの生成点における幾何的ファイバーの同種因子としても現れるか? この問題(R\"ossler-Szamuelyの問題)は、Sの基礎体kが代数閉体の場合に容易に帰着されますので、一見純代数幾何的な問題に見えますが、実際には、kが素体上有限生成な体の場合に帰着して、ガロア表現を通じた数論幾何的アプローチをするのが有効です。この問題は一見簡単そうに見えますが、今のところ一般には未解決で、その障害となるのがkが有限体の場合の"ghost"の存在の可能性です。この講演では、この問題についてなるべくわかりやすく概説したいと思います。