談話会


2019/5/27(Mon)

16:45--17:45 理学部 E404/406/408 大セミナー室 (いつもと時間帯が異なりますのでご注意ください)

洞 彰人

北海道大学 理学研究院

対称群の表現に関連する確率モデル — ヤング図形集団における巨視的プロファイルの時間発展

対称群に関係する確率モデルの例として、ランダムなヤング図形の極限形状から発展した話題をとりあげる。 対称群の既約表現の同値類をヤング図形でラベルづけする。 プランシェレル測度を備えたヤング図形の集団において箱数をどんどん大きくする極限を考えると、 大数の法則の効果によって巨視的なプロファイル(VKLS極限形状)が浮かび上がることが知られている。 一方、既約表現の制限と誘導を考えると、分岐則を背景にもちプランシェレル測度を不変に保つ マルコフ連鎖がヤング図形の集合上に自然に定まる。 さらに、遷移の間の待ち時間分布を導入することにより、連続時刻のランダムウォークが得られる。 この微視的時刻とヤング図形の箱数の適当なバランスのもとでスケール極限を考えると、 再び大数の法則の効果によって、巨視的時刻を含んだ巨視的プロファイルの時間発展(動的モデル)が導かれる。 このモデルの構成といくつかの性質を紹介することを目標にしたい。 既約指標の計算を中心とした対称群上のフーリエ解析と、非可換な構造をもつ大きなランダム系の考察に しばしば現れる自由確率論の方法を軸にして話を展開する。