談話会(集中講義の第1回を兼ねる)


2022/10/3(Mon)

17:00--18:00 Zoom

入江 慶

京都大学 数理解析研究所

ラグランジュ部分多様体、擬正則曲線、ストリング・トポロジー

ラグランジュ部分多様体はシンプレクティック幾何学における最も基本的な対象の一つであり、その位相形の分類は同分野の基本問題の一つである。1980年代にGromovは擬正則曲線の理論を導入し、その帰結の一つとして、シンプレクティック線型空間のコンパクトなラグランジュ部分多様体の第一ベッチ数は正であることを示した。一方ストリング・トポロジーとは、1999年のChas-Sullivanの研究に端を発する、ループ空間上の交叉積の研究である。2005年頃、Fukayaは擬正則曲線の理論とストリング・トポロジーとの間に自然な関係があることを指摘し、その帰結としてラグランジュ部分多様体の位相形に関する強力な結論を導いた。談話会では以上の流れを概観し、議論の中心となるアイデアを直感的に説明したい。その数学的に厳密な取り扱いについては火曜日以降の講義で説明する予定である。