分枝ブラウン運動とは,ブラウン粒子たちが分裂による粒子数変動を伴いながら時間発展する確率モデルのことである。分枝ブラウン運動の最大値過程とは,原点から最も遠くにある個体のノルムの軌跡のことである。最大値過程の性質を調べることは,粒子の運動と分裂という2つの確率的要素の相互作用を解析することに相当し,分枝ブラウン運動の基本的な研究課題の1つである。 本講演では,分裂が局所的に起こるような状況下において,最大値過程の極限分布および末尾確率の減衰度が,分枝構造に付随したシュレディンガー型作用素の最小固有値と対応する固有関数により具体的に決定されることを紹介する。 本講演は西森康人氏(阿南工業高等専門学校)との共同研究に基づく。